失踪した娘を探し続ける夫妻。絶望と希望を行き来しつつ毎日を奔走することの苦しみが執拗に描かれる。視聴率主義のマスコミの煽り報道、ネットに書き込まれる誹謗中傷。
人の悪意をこれでもかと見せつけられてこちらも疲弊していた。𠮷田恵輔監督の作品は露悪的で正直やりすぎ感もあるが、現実でもSNSで攻撃的な投稿を多々目撃していると、あながち過剰でもないのかなと思わされるのが悲しい。
終わりの見えない娘の捜索活動がどんな結末を迎えるのか、どこに着地するのかが分からないまま観ていたが、ささやかながら希望が持てるラストに少しホッとした。
石原さとみの熱演は十分伝わってきたが、それ以上に青木崇高の抑制の効いた演技が良かった。狂気の人となっていく妻を懸命に支える冷静な夫である彼が、娘を想い目を真っ赤にするシーンは泣かずにはいられないよ……。森優作も良き。コミュニケーションが不得手な感じとか生きるのが下手そうな人物像とかも本当に素晴らしかった。カメラマンを演じた細川岳のナチュラルマスコミ脳な振る舞いや言動も、典型的な𠮷田作品の登場人物っぽい感じを上手く体現してて唸った。
心から嫌な気持ちにさせられるから、いつも𠮷田作品には身構えてしまうのだが、観ずにはいられないんだよなー。人の醜いものも美しいものも映し出してくれるのが好きなんだな、きっと。
