kuma

ミッシングのkumaのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.0
「もどかしい」「やるせない」2時間ずっと、この感情が心の中に宿ってくる。心を失ったワケではなく、大人になるにつれて心が汚されてくるんだよな。人道的に、道徳的に生きようとしても、どこかで邪道、外道、非道なトコロが出てしまう。無慈悲な言葉をLINEで連投したり、聞こえないことを良いことにディスりまくったり。やったことあるから痛く刺さる。猛省。子供のように純粋無垢に笑えるくらい心が浄化される時はくるのかな。今作に出てくるオトナの笑い方はどこか汚れてる。特にキー局に引き抜かれる駒井の「ニヤリ」な笑い方。イヤらしい。

つい先日に家族とディズニーランドに行ったばかり、そこには甥っ子が2人いて、ディズニーも楽しかったけど、何よりもピュアに楽しんでる甥っ子が眩しかった。もしそんな甥っ子たちが映画のような状況にあったとしたらと考えると、、筆者は「土居圭吾」と同じ立ち位置になるので余計、考えさせられるものがあった。

登場人物ほぼ全員がミスをしている、現在進行形動詞としての「ミッシング」もしているような気がしてきました。特に小野花梨さん演じる新人記者が典型的。そこにフォローしてくれる中村倫也さん。石原さとみさん演じる紗織里にとっての豊(青木崇高さん)のように「誰かに寄り添える心」こそ「光」なのかなと思いました。なんで中村倫也くんになりたい。そして人生を共に歩んでくれる僕にとってのミトちゃんは何処。

吉田監督と「日本のA24」ことスターサンズのコンビは「空白」以来。「空白」を配信で見た時も、何とも言えない感情の波に押し寄せられたが、「ミッシング」を大きなスクリーンで観たことで、もっと揺さぶられた。誰かこの「ブランク」を埋めてくれる「マスターピース」をください。

追伸
・あるセリフを発したシーンで、自分も思わず「ロードじゃん。」と思ってしまった。啜り泣く人が劇場内にいる中で思わずクスリとしてしまった。別に茶化すつもりは無かったのに。100ページくらいある内容の濃いパンフの冒頭に「失くしたのは、心でした。」と書いてあって、「選ばれたのは、綾鷹でした。」と連想した自分。心が腐ってんな!
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