BOB

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語のBOBのレビュー・感想・評価

3.8
ウェス・アンダーソン監督が、『チャーリーとチョコレート工場』等で知られるイギリス人作家ロアルド・ダールの短編集を映画化。全4篇中の第1作。

🔴🟢

ウェス・アンダーソン監督らしい完成度の高い短編映画。ウェス作品は、ストーリーがハマらないと、情報量が多くて最後まで集中力が持たないことがしばしばあるのだが、本作みたいに40分くらいの尺だと気軽に観られて非常に健康的。

クラフトマンシップ溢れる色鮮やかな美術、役者とカメラの動きを最小限にして周りのセットを積極的に動かしていく演出、早口且つノンストップの台詞によって、映画の世界にどんどん引き込まれていった。個性的なヘンリー・シュガーのキャラクターはウェス作品向きだったし、ウェス作品初出演となったベネディクト・カンバーバッチもこの箱庭的な世界観に見事にフィットしていた。

小説を読んでいるかのような感覚を与える映画。小説の台詞だけでなくナレーションパートまで役者が、読み上げていくスタイルが新鮮。ウェス・アンダーソン監督は、"映画"の枠を越え、"動く雑誌"と化していた前作『フレンチ・デスパッチ』に続き、小説、絵本、映画、演劇等など、様々な芸術形式の垣根を次々と超えていく。"映画"というものの限界に挑戦しているようにも思える。次はどんな"映画"を見せてくれるのか、期待大。

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