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タンジェリンのBOBのレビュー・感想・評価

タンジェリン(2015年製作の映画)
3.5
アナモルフィックレンズを装着した3台のiPhone5sで撮影された、ショーン・ベイカー監督のコメディ・ドラマ。

🍩"Merry Christmas Eve, Bitch."🍩

トランスジェンダーの売春婦2人とアルメリア人タクシー運転手が中心となって繰り広げられる、痴情のもつれを発端とするLAクリスマス狂騒劇。

カオスでユニークな友情物語。善悪や好き嫌いのジャッジを受け付けてくれないような世界が広がっている。雨降って地固まるではないけれど、やかましくてやかましい口論の末、各人の仮面が剥がされていく。

全編iPhoneで撮影されているのが特徴。レンズを通して映し出されるヒト・モノ・出来事は限りなくリアルだが、フレアを含め映像そのものは夢のようである。綺麗なタンジェリン色に染まるLAの夕焼け空など、黄色味がかった映像をベースに、ビビッドでカラフルな世界。厳しく切羽詰まった日々の生活の中でも、ふと冷静になって周りを見渡してみると、息を呑むような美しい世界が広がっているのではないか。そう思わされた。

シーンの切り替え時に仰々しく鳴り響くポップな音楽。

タクシー内でのゲロシーンは、作り物ではなく本物とのこと。あまりの気持ち悪さに、ショーン・ベイカー監督本人も、撮影後ゲロったらしい。当然リテイクはなし。笑

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