ルークシュポール

私がやりましたのルークシュポールのネタバレレビュー・内容・結末

私がやりました(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

すごく良かった
めちゃくちゃで終始笑いっぱなし
殺人最高!と言いたくなるくらい
フェミニズムを称揚してるんだかバカにしてるんだか
そもそも、人間の価値観なんて適当なものだというテーマ?(近いことをアンドレの父親が言ってたよね)

最後の劇が真相だとすると、はじめからマドレーヌとオディールはグルだった?ポーリーヌはどこまで知ってたのか
個人的にはここまでハッタリと無理筋を押し通して来たのだから、真相はもっとマヌケで失笑するようなものでも良かった気はするが
時代が許してくれないか

1930年代フランスを何かと調べているので、画やファッションにもときめいた。ポーリーヌのパンツルックかっこいいな。彼女の弁論がかっこよかったので弁護士になりたくなった。今から目指すか?
裁判で「法廷はコメディ・フランセーズではありません」と(字幕は違う表現だったかも)裁判長が注意したところが謎にツボった
唯一マドレーヌへの批判を載せてたのが「Je suis partout」(極右新聞)で芸が細かいな!?と感動した(フランスでは常識?)

後日譚も笑ったけど建築家の人だけかわいそう
作中で特に悪いことはせず、「女が助けてもらうのに身を売る必要はないし、私は妻に惚れ込んでいる」と真っ当?な価値観を表明した人だし
単純な勧善懲悪物語ではありませんよ、ということだろうが

後から思い返して気付いたのだが、ルッキズムの問題だけ解決されてないよね
アンドレの婚約者の写真が笑いものとして出て何もフォローがないのは嫌悪感を覚えたし、悪人がみんないわゆる「太った醜い中年男性」なのはあまりにも紋切り型ではないか
美しいものが勝利するというメッセージは時代錯誤ではないだろうか
というかフランス人って人の容姿を笑いものにしていいと思ってないか?
あの令嬢が登場人物を皆殺しにしてくれればよかったのに

仏革マニアとして数点ひっかかったのは残念
シャルロット・コルデーはマラーに襲われたから返り討ちにしたんじゃないぞ、マラーは身動きが取れなかったし…いやポーリーヌは分かった上であえてハッタリとして持ち出したんだろうが
あと「マリー・アントワネットの苦い涙」、王党派の処刑人サンソンは「共和国万歳」とは言わないと思うが
本筋には関係ないし、むしろそれもこの映画における「事実」の適当さと言えるのかな(というか、1930年代はフランス革命研究がまだイデオロギーにガチガチに縛られてたか)