パン

首のパンのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.5
めっちゃ面白いー!
まさに首!って感じの作品だった。
だが良い点と悪い点が沢山ある。

良かった点は激しいゴア表現や北野映画特有のユーモラス。
普通にギャグが面白かったんだよな。
首鑑定するシーンとか影武者ギャグとか…あと閻魔様が信長の弟子になりたがる小話とかね。
そして村重が性格完全に乙女なのも面白いw  

実在する黒人侍の弥助を出してきたのも今の時代に合ってて良いと思う。
しかも割と重要な役割だったよね。
だからフランスでも本作は絶賛されてたのかな。

クライマックスあたりの山崎の合戦シーンは短いけど映像に迫力ある。
備中高松城の戦いの水攻め映像は素晴らしかった。
あそこはなんか風情あるんだよな。
その後に描かれてる中国大返しも戦国版の24時間マラソンみたいで笑った。

あとは光秀役の西島秀俊と秀長役の大森南朋が特に演技素晴らしかった。
この二人は最高のパフォーマンスを発揮してたな。文句なしに満点。
黒田官兵衛役の浅野忠信とか曽呂利新左衛門の木村祐一も凄く良いね。
これだけの登場人物と壮大な物語を2時間11分で綺麗に収めたというのも天晴れだ。もっと長くなりそうなものだが…

悪かった点として明らかにエキストラ足りてない箇所があった。
特に長篠の戦いはそれが顕著だったな。馬の数全然足りてない。
信長の代表的な戦だからここはちゃんとやって欲しかった。
本当に小競り合いレベルに見えたな。
世界の北野ですら予算不足を感じるのだから本当に日本って貧しくなったんだなと感じずにはいられない。
CGで埋めるとか撮り方工夫すればもう少し水増し出来た気がするんだけど難しかったのかな。

公開前から散々賛否両論だった秀吉役の武。
武なのは良いとして流石にもうお爺さんすぎるよな。
どう考えても今から天下を狙うような年齢じゃない笑
出来ればあと30年ほど早くこの映画を撮るべきだった。
その頃の日本はバブルで大金使えただろうし、武も30歳若くて秀吉ピッタシだっただろうな。

そして加瀬亮演じる信長が絶賛されてるが、俺は正直そこまでハマれず…
尾張の言葉は上手だったが。
アウトレイジの加瀬亮は弱いのに強そうな振りしてる感じが裏切り者のインテリヤクザっぽくて逆に良かったけど、この映画に関していえば信長は本当に強い人がやるべきなんだよな。
加瀬亮はちょっと合わない気がした。
本人はめっちゃ頑張ってたし迫真の演技だったけどね。
そして秀吉演じる武との年齢差も違和感バリバリw
武が若返ることは不可能なんだしせめて信長をもう少しおじさんにするべきだったかもね。
でもあのクレイジーな信長像自体は悪くないと思うが。

忍者同士の空中戦あったけど、武の映画にしては珍しくSFと化してたな。
あれやった途端にありがちでチープな邦画になっちゃうからあれはやらんで良かったかも。
半蔵のルックスとかは割と史実っぽくて好きだが。

色々文句言ったけどかなり好きな映画だったし観に行って本当に良かった。
ラストもあっさりしてて良い。
アウトレイジのようにエンタメ性を追求してる作りだな。

ただ本作は強烈なゴア表現や「これでもか!」というくらい男色シーンが出てくるのでそこで好き嫌いは分かれるかも。
まあ男色の逸話とかも実際沢山残ってるし、武士の嗜みというやつだろう。
簡単に女抱きすぎて逆に飽きちゃうんだろうな武将たちは…

あくまで武から見た戦国時代のイメージという感じの仕上がりだ。
自分は既にもう一回くらい観たい。
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