細谷しゅうへい

PERFECT DAYSの細谷しゅうへいのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
 台詞が限りなく少なく役所広司の演技のみで映画が進んでいくので
彼はどんな人なんだろう、何に幸せを感じているんだろう、どんな人生を送って今の職に辿り着いたんだろう
と、前のめりで思考しながら見る事ができた。静かな映画なのに頭は沸騰しているように熱かった。
 自分は、音楽に精通していないので使われていた音楽のバックボーンは分からないけれど、自然と一体になれるようなスピリチュアル的な体感があった。
自分を彼と同じだとは思わないけれど、自分もいわゆる普通な人達とは違う生き方をしている自負があるので重ねて見る所も多々あった。
あれほど純粋に文化を楽しめたら幸せだろうな。
 もしかしたら出来すぎているかもしれないけどしっかり実態を感じた。
映画の中でちゃんと彼の生活は本物だったように感じる。
古本屋の店主さん良かったな〜。大型書店でしか本を買わないから本を通じた人との熱のあるコミュニケーションに憧れがある。
一方でカメラ屋の店主さんは無口で良かったな〜。
久しぶりにフィルムで撮って現像したいな

 この映画で何を伝えたかったのか正直まだ分かりきれてないし、分かりきらなくてもいいのかもしれないけど
間違いなく自分の人生を、日々の思考を豊かにしてくれる作品だった。
何十年後、自分も彼と同じ歳になってからあーそうかと分かる事が沢山あるだろうな。
そう思うと長生きしたいな。
彼を見て可哀想だと思うか羨ましいと思うか、それは見る人によって違うと思うけど
自分は彼のような人生を送りたいなと思います。