なんだか凄い映画を観た。
役所広司は一切演技を感じさせず、ただそこに存在し生きている。
ただ、トイレ掃除をするだけなのに、画面が数十分も持ってしまう凄み。
ヴェンダース初期の「ロードムービー」の気配も感じさせつつ(しかし主人公は同じ場所でローテーションし、旅をしない)、後に続く「都市映画」の美しさも併せもっており。
ただひたすらにリアルを描いているように見えて、見終えた印象はファンタジーという。
ただ一点惜しむらくは、通行人エキストラたちのクオリティの低さ。
「画面の端から端へと歩く!」という演技をチカラいっぱいやっていて痛々しいカットが序盤と終盤にいくつかあり「これは作り物の映画なのだ」と冷めてしまうのだ。
ヴェンダース監督、役所広司をはじめとした俳優陣の完璧さをエキストラがぶち壊すとは、なんとも悲しいことである。
そこを差し引いたとしてもほぼPerfectな映画なのだが。