潮

PERFECT DAYSの潮のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4
「この映画は東京のトイレをPRするために作られました」
って冗談のつもりでレビューに書こうとしてたけど、パンフレットを読んだら本当にトイレのPRが当初のコンセプトでビックリしたw

「清貧」を体現するように、トイレ清掃を生業としながら慎ましく暮らすある男の物語。
毎朝掃き掃除の音で目覚め、自販機で缶コーヒーを買い、神社のベンチでサンドイッチを食べ、文庫本を読みながら眠りにつく。
1日のルーティンを守りながら暮らす「平山」の姿は、娯楽や刹那的な快楽にに浸かりきった現代人にとって美しく映る。

でも、そんな平山の暮らしにも人との交わりがあって、軽薄な職場の同僚や行きつけのバーのママ、思春期の姪、様々な人との関わりが平山の日々を揺らす。
その揺らぎから生まれた「木漏れ日」が何より美しく、ただ画面を眺める幸福な2時間を彩っていた。
平山の日々は今日も続いている。
潮