ユウカ

PERFECT DAYSのユウカのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.9
わたしが生きる毎日に
形に残せるような日は
何日あるのだろう?

映画を見終わって最初に思ったことだ。


平井の毎日はとてもパーフェクトとはいえず、
同じことの繰り返しでとても羨ましいとは思えない。

休日も同じルーティンの繰り返し。
部屋で育てる植物は大きな変化がわかりにくいし感情もない。

もう少し、、生き物を飼ったりしてはどうか?
と思ってしまうほどだ。

平井は毎日、公園で同じアングルで写真を撮る。そして現像しては選別し、きれいに撮れたものだけを残す。

フィルムじゃなくてデジタルにすれば?
でもあの写真は彼にとっての「日々」だとしたら、
過ごしてから書き換えられる日々はなくて
それはまるでフィルムカメラのようだと思った。
(ただ、思い出に残したいのは「気に入った写真(日々)」だけなのかも)


そんな平井の何気ない毎日に訪れる
さまざまな変化たち。

トイレのまるばつゲーム
たかしに気になる女の子ができた日
その子にキスされた日
いつもの居酒屋が混んでいた日
にこが来ていつものルーティンが"2人"になった日々
想いを寄せていた人が、男を身を寄せていた日

女将の元夫に放った
「何も変わらないなんて
そんなことあるもんか
そんなふうにさせるもんか」

それは同じような毎日を送る平井にとって
どうかこの日々を無意味なものにしたくない
生きることには意味も、たのしみもある
という強い気持ちが込められた言葉だったと思う。

こもれびは一枚一枚の葉の重なり。
似たように見えても、同じものは一度とない。

これが平井の(もしかすると私たちの)日々そのものなのではないか。

最後の涙は
幸せか、諦めか 肯定か、否定か
まだ30年も生きていないわたしには
少し判断が難しい。

だからまずは、これからもう少し
自分が生きる日々とゆっくり向き合っていきたい。
ユウカ

ユウカ