海猫

PERFECT DAYSの海猫のネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

単身赴任しているうちのお父さんと何度も重なった。
私も母と妹のいる家で駄目になった時お父さんの狭いアパートに1週間くらい避難する。早朝に起きて苦いコーヒーを飲んで3食しっかり食べて父は仕事の電話が入ると車で出かけて行き夕方には川沿いを走ってラジオで相撲を聴いて夜は風呂に入って21時には寝る。その規則正しく健康な生活に次第に狂っていた自分の生活リズムも引き戻されて、心もひとまわり強くなってまたせわしない家に戻る。
最初の方で平山さんはもしかしたら色彩感覚がないのかなと思った。無口でよく働いていい音楽を知っている。優しすぎるわけでもなく怒るときは怒るところも父に似ている。一度アパートの隣の公園でサッカーをしてアパートの壁にボールを何度もぶつけていた少年たちに父が怒鳴ったのを聞いたことがある。びっくりしたけど少年たちも負けじと言い返すので彼らのハートの強さにまた驚く。聞けばいつものことらしく、過去に隣のアパートの窓ガラスを割ったこともあるらしい。それなら怒っても仕方ないかと思った。でもやっぱりあれはちょっとこわかったな。
どこかで誰かが毎日生きていることを知ることが私を今ここに繋ぎ止めていると最近感じる。それをおしえてくれるのは本だったり映画だったり、バイト先の人や友人、すれ違うだけの人だったりもする。
私も平山さんみたいに毎日ルーティンを決めて生活してみようかな。思えば「シェイプ・オブ・ウォーター」のイライザも「ぼくを探しに」のポールも私が好きな映画の主人公たちは皆規則正しい生活をしていた。
朝がくれば雨でも晴れでも曇りでも顔を上げて笑う平山さんのようになれたら。毎日は難しくても、週に一日でもそんな日があったらいいと思う。めざせ平山!めざせ父!
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