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アッシャー家の末裔
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『アッシャー家の末裔』に投稿された感想・評価

TS

TSの感想・評価

2.9
短文感想 69点
タイトル通り、アッシャー家の末裔の男について描いた映画でして、ゴシックホラー。サイレント時代ならではの不気味さが漂っています。子もいない主人公アッシャーは不思議な伝統を行なっていました。それは自分の妻の絵を描くということ。そしてその絵が本人に近づけば近づくほど、本人の命の終わりが近づいてくるということなのです。なんだそれ、と思ってしまいますが実際に妻が死に、棺桶を運んでいくシーンはやや不気味。カエルの交尾のシーンもやけに印象的でした。怖いというより気味が悪いホラー映画でした。
horahuki

horahukiの感想・評価

4.3
伝統(呪い)と未来の葛藤!

サイレント時代の傑作ホラー!
ポーの名作『アッシャー家の崩壊』をベースに映画化した作品。幻想的な映像美が素晴らしく、ホラー演出には音もセリフも不要だということをまざまざと見せつけられる極めて純度の高い映像表現。原作(文章)の詩的雰囲気への映像による挑戦!!

邦題を原作と同じ『崩壊』にせずに『末裔』としたのは良い改変。基本的には原作に忠実な物語ながらも、原作と真っ向から対立するかのような改変が施されているため、この邦題変更は良い判断だと思った。

アッシャー家は名家でありながら、何故か直系の子孫しか生まれず分家が出たことがない。アッシャー最後のひとり(現当主)から「寂しいから来て!」の手紙を受け取った友人が駆けつけてみると、どうやら奥様の余命が長くないらしい…。アッシャーは奥様の肖像画をひたすら描き続けるも、それが進むごとに奥様はどんどん衰弱していく。

ちなみに原作では奥様はおらず死にそうなのは妹。「ただ一人の伴侶」と原作で言及されるように近親相姦を匂わせることで、外部と一切交わりのないアッシャー家の閉塞感と病的な退廃感を醸し出していたことに比べると、外へと開放された本作は原作とは相容れないもの。そのせいかは知らないけれど、共同脚本で助監督だったブニュエルは、ポーに対する監督との解釈の相違によって途中で降りたらしい。

無機物の知覚を強調した原作を追うように、直接的には言及しないながらも家系としての伝統(呪い)を象徴する古城に表現主義的に主観を投影させ、伝統と解放における心的葛藤をそれぞれ建物と奥様に託している。炎の揺らぎと顔にあたる照明の揺らぎを呼応させ、行って戻るカメラに後付けで繋ぎ止めたい焦燥感と伝統の重苦しさの心情を乗っけていく。更にはその焦燥感の奥底にある深層との二律背反からくる病的な崩壊を微笑とこの世ならざる空間の凄みを持って心的表現の最大ボルテージとしてぶちかましてくるクライマックスは鳥肌もの!

様々な風景や動植物を細かく繋ぎ合わせる中で、もっとも印象的なのはカエルの交尾だったけれど、担っている的確な意図も去ることながら、その挿入される位置とか神がかってる!すんごい作品だけど、日本版ディスクが48分で短縮版?だったのが残念だった…。本当は63分あるらしい。せっかくディスク化したんだったらあと15分くらいいれといてよ!😭
[邦題が乱立しすぎている…] 90点

言わずと知れたポオの同名小説の初映像化作品。サイレント期から多くのホラーハウスや古城を舞台にした映画が製作されてきたが、内装や外装を禍々しくしたり、住人で禍々しさを補ったりしていた作品が多いことを考えると、普通の狂人が暮らす普通のボロ屋敷をここまでおどろおどろしく、かつ耽美的に描けるのかと驚かされる。カーテンや落ち葉、煙で風を可視化しつつ、部屋の中であってもそれが狂気的に吹き荒れる情景は『風』そのものだし、家具の少ない貧乏屋敷のセットは彼らが貧乏であるという以上に『芸術と手術』の"心象風景"的な屋敷を思い出させる。このすり替えが実に上手い。

コーマンを含めて何度か映画化されているが、邦題がどれも微妙に違うので少々面倒なのが玉に瑕。

『アッシャー家の末裔』に似ている作品

カリガリ博士

上映日:

1921年05月14日

製作国:

上映時間:

71分

ジャンル:

3.6

あらすじ

あるドイツの田舎町のカーニバルで、カリガリ博士という男が眠り男・ツェザーレを使った見世物を出していた。自分の死期を尋ねた男が「明日の朝まで」と告げられ、翌朝に殺されてしまう。友人の死に疑問…

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