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落下の解剖学のmarmoのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画のつくりがうますぎる。

波語字幕で見て、英語は聞き取れたけどフランス語は30%くらいしかわからなかった。それでも展開に釘付けにされて眠くならなかったのがすごい。
最後まで徹底して視聴者に神の目線を与えず、判断を下すためには何を信じるか選択しないといけない。

裁判や取調べで”ジャッジしないで”って言葉が何度も出てきたのが印象的だった。メディアでも大きく取り上げられて、事件には関係ない(かもしれない)私生活や小説の内容までも裁判の一部になったのは来るものがあった。見ているだけでもしんどいのに、ずっと人の疑いや主張を浴び続ける心労は計り知れない。

あとちょうど自分も外国でこの映画を観たので、相手の言語や郷土に合わせるばかりで自分はマイノリティだと感じるサンドラの息苦しさには同情してしまった。これは本筋ではないのだけれど、2人の溝の原因としては大きすぎるものだと思う。だけどこれは殺していい理由にはならない。でも殺したのかはわからない!もどかしーーーー!!!!

子役の子、目線配りが天才的で彼をも犯人として疑ってしまう瞬間さえあった。
そういうごく個人的な印象論でさえも、不確かな状況の中では大きく扱われうるのかもしれないなー。
中々経験することのない大きな気持ちの揺らぎを感じた。いい映画体験でした。
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