EmmA

落下の解剖学のEmmAのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
冒頭から犬を追うカメラ
この犬、何かありそうだな
と思ったらビックリする名演

夫の転落死から事故か他殺かを
争う法廷劇ではあるのだけれど
関係が拗れていた夫婦の実態を
暴いていく側面の方が大きい

物的証拠も無いまま検察側は
小説家であるサンドラの性的嗜好から
決めつけ裁判のような様相を見せ
楽しんでいる感がちょっと不快

そして視覚障害がある息子のダニエルが
証言者として裁判に巻き込まれていく訳だけど
物哀しい感じの少年だったのが、ある瞬間
「もう傷ついている」と言って覚悟を決め
えっ何しちゃってるの?という行動に出る

うわぁ、何か説得力ある
でもどんな心理状態なんだろう?この子は
と一番解剖し切れていないようにも感じる
そして真実は藪の中

犬のスヌープ
やはりカンヌでパルムドッグ賞を受賞したのね
彼が誰よりあの鋭い目で人間たちを観察して
自らを犠牲にしながらも
共犯関係を築いていたような気がする

あとザンドラ・ヒュラーの
癖も澱みもない英語にビックリした
夫が英語での会話に不満を漏らした時
「私だって母国語じゃないのよ!」と
言ったのはしてやったり
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