ミサホ

落下の解剖学のミサホのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0
本作は公開前から楽しみにしていたのに、しばらく劇場へ行けてなくて、もう劇場では観られないかと思った。ふぅ…間に合って良かった!


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自宅から転落して死亡した夫。
夫を殺害した疑いで起訴された妻。
死の真相を知っているとされる息子。

夫の死を巡る裁判。
法廷で明らかになる事実と秘密。
物的証拠と状況証拠、そして証言。

夫が執筆用に録っておいた音声テープに残った、夫の死の前日の激しい夫婦喧嘩。

おそらく多くの家庭にもあるようなことが、ひとりの人間の死と結び付けられて、クローズアップされる。

夫婦の力関係
夫の嫉妬
妻の秘密

わたしは法廷でひとり晒し者になるサンドラが気の毒だと思った。差し込まれる仲睦まじかったころの写真の数々が、消えてしまった夫婦の愛を浮き彫りにするようで悲しい。

法廷における印象操作の恐ろしさ。
それぞれの思惑がうごめく。

それでもサンドラが突き落とした可能性は否定できないのも事実。他殺あるいは自殺もしくは事故。真実は彼女だけが知っている。しかし、重要なのは、弁護士が言うようにそこじゃないのだ。ほんまに重要じゃないんか?とも思うけど。作品的には…ね。

最終的に判決につながる証言をした息子ダニエル。裁判を傍聴し通して、11歳の彼は彼なりに両親が不仲になった責任を感じたのかな…とも思える。

とはいえ、
彼にも真相は分からないのだ。

こうやってレビューしながら思い出していくと、改めて興味深い作品だったなと思う。意味深なところがいっぱいあった気がするし。

いつかもう一度鑑賞して、
ゆっくり咀嚼したい作品だ。
ミサホ

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