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落下の解剖学のNのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
事前情報入れずミステリーだと思い込んでたので観ていておっと…そっちか…となりました。
ミステリーというよりかは”別離”、”クライマークライマー”、”マリッジストーリー”的な家族の物語。どれも好きな映画だけど今作はそのどれよりも淡々としていて、だからこそ重苦しさがある。

どうしても夫婦関係を描くものは女性側が感情的に描かれることが多い気がするのですが、今作は父親側が感情的でかつミステリアスな部分が大きい。
生きているサンドラやダニエルの本心もわからない。結局口にする言葉でしか確信は得られないのだ。だが2人は決定的にこれからも生きていくという点で父親と違う。

会話劇の応酬とそれぞれのバックグラウンド(故郷や過去)を背負った役者達の演技が圧巻でした。ダニエルを子どもではなく自立した1人の人間として描いているのがなんともフランス映画らしい。”別離”では無責任に感じた選択肢を与える行為が、今作ではリスペクトとして感じる。きっとその過程の違いなのだろう。
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