アイウ

落下の解剖学のアイウのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.6
目的を犯人探しにしないで観ればとても面白い作品。

出来事は見方次第でいかようにも背景の物語を作ることができるということ。

人が外からある出来事だけを見て作り上げる物語は、全体のほんの一部でしかない。

夫婦、家族は上手くいっているように見えても、掘り起こせばいくらでもほころびは出てくるもの。
この映画の場合、(夫はおそらく自殺だろうけど)妻は夫を精神的に殺しているし、妻もそれを自覚していて後ろめたさはあると思う。
でもきっと多くの人も、しっかりつついて掘り起こせばそういった何かしらの罪を犯していたり、何かしらの後ろめたさを抱えて生きているんじゃないかと思う(違ってたらごめん)
私も尋問されたらいくらでもまずいものは出てくると思う。

最後の添い寝する犬のカットはしみじみきました。
勝ちはしたけれど、ボロボロに傷ついている親子の間を行き来する犬。

回想の入れ方がものすごく考えられていた。
ああ、ここは回想入れるんだ、ここは口パクか、ここは音だけか、、、と
全部見せ方をしっかり意味づけしてあるだろう回想。


しかしもし自分が冤罪で囚われたら、いくらでも怪しい部分が出てくるんだろうな、何の罪かわかんないけど、無罪になりそうにないな、、、と怖くなった。
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