ゆき

愛にイナズマのゆきのレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
4.2
俳優

日常で何かなかったことにしたりされたり、当たり前にあるし諦めてた部分に気づかされて、少し闘志を分け与えられた140分。

「夢」をないがしろにされたからなのか、自分の家族の話を他人の物のようにされたからなのか、彼女の闘う根源はたくさんありすぎて、何と闘ってたのかすらどうでもよくなる熱量の作品でした。
かつ、家族もしくは家族くらいに大事にしている人たちと会いたくなる物語でもあった。

記憶の濃度はそれぞれに違うにしても、思い出は確かにあって。コメディにもなりうるテンションで純粋に向き合う人たち。歪なリズム感がどんどん癖になるから不思議。
アンバランスな家族でも「母」の存在はみんなの軸になっていて。父のふがいなさも長兄の内弁慶さも次男の陰キャ感も愛おしくて仕方なかった。家族みたいに溶け込んでる正夫も。家族と証明するものなんて他人に出せるかって。ちらり登場する人たちもユニークで最高。

これ以上この作品の好きなところを上げていくと、弁が開いちゃうのでね。この辺で。
最後に。三浦貴大さん演ずる助監督に嫌悪抱きすぎて劇場出たろうかと思うくらい、腹立った。名演すぎるよ、もう。「若い」で括んな、ふざけんな。
****
映画監督の折村花⼦、26 歳。商業映画デビューを目前に、彼女の完成は否定され、慣習が迫ってくる。空気は読めないがどこか魅力的な正夫と出会い、どん底にいた花子は静かに闘いの火蓋を切る。
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