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ブラッド・アンド・ゴールド ~黄金の血戦場~の一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ペーター・トアヴァルト監督作。

Netflixオリジナル映画『ブラッド・レッド・スカイ』(2021)のドイツ人監督:ペーター・トアヴァルトが再びNetflixを主戦場にして描く戦争アクションの佳作で、ユダヤの隠し金塊を巡る脱走兵vsナチス親衛隊の攻防を描きます。

ドイツが敗色濃厚となった二次大戦末期の1945年、ドイツのとある小村を舞台に、ドイツ軍の脱走兵:ハインリヒと彼を死の淵から救い出した農婦のヒロイン:エルザが、ユダヤ人が遺した大量の金塊を探しに村に乗り込んできた冷酷な中佐率いるナチス親衛隊との間で熾烈な攻防を繰り広げていく様子を描いた“金塊争奪アクション”で、純粋な戦争映画というよりも、西部劇とりわけマカロニウエスタンの風合いを感じさせる異色の戦争アクションとなっています。

妻子を空襲で亡くし戦争に嫌気が差したドイツ軍脱走兵と、障害者の弟を守り抜いてきた勇敢な地元農婦が、小村に眠る隠し金塊を血眼で探す暴虐武人な親衛隊(&金塊を隠した狡猾な一部村民たち)に武器を手に果敢に立ち向かっていく戦争アクションで、戦時下のお宝探しという意味では湾岸戦争を舞台にした『スリー・キングス』(1999)を連想させます。

小村とその周辺に物語の舞台を限定したコンパクトな作品ながら、隠し金塊を巡る主人公男女vsナチス親衛隊の激烈な攻防を見応えのある陰謀劇&凄惨な銃撃戦を交えスリリングに活写した戦争アクションの佳作で、顔の左半分が醜く崩壊した親衛隊中佐役:アレクサンダー・シェアーの怪演も悪役として完璧な存在感を放っています。

蛇足1)
劇中の神父の台詞にある“水晶の夜”とは…
1938年11月9日夜から10日未明にかけてドイツ各地で起きた反ユダヤ主義暴動及び迫害事件。主にナチス突撃隊によってユダヤ人の居住区等が次々襲撃され、放火、略奪、強姦、100名近くの死者を出した。ユダヤ人の立場はこの事件により大幅に悪化し、ホロコーストへの転換点となった。なお、“水晶の夜”という命名は、破壊されたユダヤ人の店舗のガラスが月明りに照らされ水晶のように煌めいていたことに由来する。(wikiより改変)
蛇足2)
青酸カリは致死量の服毒でも即死はしません。死に至るまで15分程度かかるとされています。
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