よどるふ

四月になれば彼女はのよどるふのレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
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ビジュアルがあまりにも印象的すぎて、フィクションに取り入れるにはもはや揶揄の対象となりつつあるウユニ塩湖(的な風景)だが、本作には実際のウユニ塩湖で撮った映像が出てくる正面突破ぶり。とはいえ、「ウユニ塩湖といえばこれ!」みたいな画像検索をすればすぐ出てくるような画にしないところには作り手の意欲を感じた。映画が始まってそれほど時間が経たないころに「排水溝が詰まって水が浅く溜まった洗面台」が出てくる。あれはおそらく“天空の鏡”とも称されるウユニ塩湖を模したものだと思うのだが、そこからはそれ以上の広がりは感じられなかった。

“底の浅い水溜り”と言えば、フィルムで撮った写真を現像するために使う現像液の入った現像バットも当てはまるか。鏡を使った演出で言うと、主要人物のひとりを演じる森七菜さんが左利きであることを利用して、「右利きの登場人物が手紙を書いている姿を人物の左側から撮った映像」と「左利きの登場人物が手紙を書いている姿を人物の右側から撮った映像」を連続させることでシンメトリーな構図を見せるシーンは印象に残った。長澤まさみさんの演じる人物が垂直に置かれている鏡(洗面台の鏡や建物の窓ガラス)を見つめるシーンと合わせると、“水面”や“鏡”が作品内において重要な位置を占めるものであると言える。
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