よどるふさんの映画レビュー・感想・評価

よどるふ

よどるふ

キラーカーズ/パリを食べた車(1974年製作の映画)

-

小さな町が抱える大きな秘密を相対的な視点をもって仰々しく描こうとしていない点は、いまの目から見ると新鮮さを感じる。『トゥルーマン・ショー』の監督作品として見ると、「閉じた世界の崩壊」によって映画を締め>>続きを読む

ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

-

謎の信号をキャッチした機械がそれを波形として視覚化したものと、謎の信号を感じ取れる人間が無意識のうちに描き出した絵が似ていることを、周囲に相手にされなかった専門家が陰謀論のポッドキャストを配信している>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

-

手持ちのさまざまな国語辞典で「あく【悪】」を引いてみると、おおよそ「道徳や法律に背くこと」という意味であることが載っている。道徳や法律は人間の社会生活や秩序を維持するために作られた規範であり、それに背>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

-

原作は山田太一による小説『異人たちとの夏』だが、そちらは未読。大林宣彦監督による映画『異人たちとの夏』は、4年ほど前に一度だけ鑑賞している。大林版と本作とで共通して見られる演出が、寒色と暖色の扱い方だ>>続きを読む

ある街角の物語(1962年製作の映画)

-

手塚治虫によって設立された「虫プロダクション」制作による初期の短編作品。冒頭の登場キャラクター紹介から、物語本編が一筋縄ではいかないことが直ちに了解できる。なにせ鑑賞者に紹介されるのは、少女、ネズミ、>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

-

冒頭で描かれる運命的な出会いのエピソードに対して即座に「んなワケあるかい!」と第三者による突っ込みが入ることで、観客は作中人物に対する“信用できない”感情を早々に形成することを躊躇なく行うことができる>>続きを読む

インビジブル・ゲスト 悪魔の証明(2016年製作の映画)

-

冒頭に置かれた密室殺人の謎から、思わぬ方向へハンドルを切っていくストーリーテリングに惹きつけられる。殺人の容疑がかかった人物による“語り”によって事の真相が明かされていくプロセスに加えて、その容疑者を>>続きを読む

ヴァスト・オブ・ナイト(2019年製作の映画)

-

特定の場所から場所までの道のりを低空飛行で移動していくカメラによって長回しで捉えることによって、異常な事態が起こっている場所と何ら異常のない場所が地続きであることが強調され、“何か”が迫りつつある波打>>続きを読む

ロードハウス/孤独の街(2024年製作の映画)

-

本作はローディー・ヘリントン監督による『ロードハウス/孤独の街』(1989年)のリメイクとのことだが、そちらは未見。元UFCファイターの男が“ロードハウス”という名の酒場の用心棒として雇われ、街にはび>>続きを読む

俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー(2024年製作の映画)

-

幼いころ、意図せず働いてしまった悪事がバレないようにと生み出した架空の友だち、“リッキー・スタニッキー”。時は経ち、その架空の友だちにあらゆる設定を継ぎ足しながら利用してきた三人組の大人たちが、周囲か>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

-

全体の4分の1を過ぎたあたりから話が本作のメインの舞台へと移り変わっていくのだが、序盤の延長として見ていくと、この映画は妙な様相を呈し始める。その静かに進行する“妙”のあけすけさに、観る側は「これは動>>続きを読む

赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)

-

「アメリカ大統領の息子とイギリス王子による身分違いの恋」という本筋に、そこから想起させる定石の展開をしっかりと抑え、余計なサブプロットを付随させることなくストレートに描いた一作。ここまでプレーンな味わ>>続きを読む

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

-

ビジュアルがあまりにも印象的すぎて、フィクションに取り入れるにはもはや揶揄の対象となりつつあるウユニ塩湖(的な風景)だが、本作には実際のウユニ塩湖で撮った映像が出てくる正面突破ぶり。とはいえ、「ウユニ>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

-

映画の冒頭、3人の人物がバーのカウンターで飲んでいる。すると、その様子を少し離れた位置から見ていると思しき他のバーの客が、3人の関係性について想像を膨らませて語っている会話が聞こえてくる。その想像が当>>続きを読む

チャイム(2024年製作の映画)

-

不意に表出する“人の手による人の死”の描き方などは、同監督の『CURE』に近い。死のもたらされ方と伝播のされ方はほとんどそのまま。カーテンの使い方なども既存の黒沢作品に見られる部分だったかな。沿線にあ>>続きを読む

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

-

監督の永岡智佳さん、脚本の大倉崇裕さんコンビによるシリーズ作品としては、『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』以来。『紺青の拳』は「多数のゲストキャラクターがそれぞれ自分の欲望のままに動いている」とい>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

-

本作は「映画について」の話である。それは映画というソフトの話だけではなくて、「映画に出演していた役者」の話であり、「映画を監督していた者」の話であり、現代ではほぼ見られなくなった「映画フィルムと映写機>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

-

ことビジネスの場においてフィクションは“商品”であり、そこにはさまざまな利害関係者たちが絡んでくる。そしてそんなフィクション(=商品)を現実の映し鏡として捉え、「作品を語ること」を通して、さも「現実と>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

-

『ドラえもん』らしからぬ……というか、『ドラえもん』をまったく感じさせないアバンタイトルとオープニング。OPは今作フィーチャーされる“音楽”の歴史を感じさせるものなのだが、最後にタイトルが出るまでレギ>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の宝島(2018年製作の映画)

-

キャラクターデザインと総作画監督を兼任しているのは亀田祥倫さん。アニメが新シリーズ(といっても2005年だからだいぶ前)になるにあたって一新された『ドラえもん』のキャラクターデザインだが、本作は旧シリ>>続きを読む

>|