Anne

瞳をとじてのAnneのネタバレレビュー・内容・結末

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます


初のビクトル・エリセ作品。映画館で観ることができて良かった。(本当は前作『ミツバチのささやき』を先に観たかった)
前情報はほとんど見ていなかったけれど、現代ものだとは知っていたので、冒頭10分ほど「あれ、作品間違えてないよね……?」とヒヤヒヤ。

本編前半は回想を交えた対話が続き、少しきついかなと思ったけれど、中盤以降どんどん引き込まれていった。ここまで顔をアップで撮る作品は久しぶりに観た。
劇中劇も面白く観た。扇を持つ少女の仕草の美しさたるや、、、!
主人公の生活拠点、素朴だけどとても素敵で、こんなところで生活してみたいと思った。

音楽と記憶の関係も示されているようで、歌唱シーンもところどころに。主人公とトニやガルデルとのハモりが心地よかった。
「ドライヤー亡きあと、映画に奇跡は存在しない」のセリフ、本編上映前にちょうど、テオドラ・ドライヤーの特集上映予告が流れていたので「おっ」となった。

中盤で犬の上目遣いをちょいちょい挟んでいたのがずるかった。終わり方も、だいぶ観る人に委ねられていて、ちょっとずるい気もしたけど、それが許されるだけの作品だと思った。

「目を閉じる」ことや視線の強調について、作品を観ただけではいまいち掴みきれなかったけれど、そこに前作からつづく監督の哲学があることを、後から他の方の文章で知った。映画はかくあるべきと思わされた作品。
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