娘のリクエストで同行した映画だが、客層は老年夫婦が多かった。なぜ?と思っていたら、共演に食堂の叔母さんとして、松坂慶子さんが出ていた。この映画の背骨として、彼女の存在は大きい。大女優、松坂慶子を観るだけでも価値があるわけだ。
まず、恋愛映画かどうか?という疑問が浮かぶ。予告では恋愛映画という色あいが濃かったようなイメージだった。
過去にタイムスリップした女子高生 百合(福原遥さん)が、特攻隊員の彰(水上恒司さん)に恋をするという話。もちろん悲恋であるし、ベタベタした濡れ場などない。キスシーンもない。健全な映画である。
視聴前は、特攻隊員をヒーローとして描く戦争賛美の映画であると思っていたが、内容は真逆で現代ヒロインが、現代の価値観で当時の人に“命の価値”を説く、トンデモ反戦映画だった。
「ゴジラ-1.0」の世知辛さを観た後だと、憲兵役の津田寛治さん以外は、批判も阻害もなく現代JKの福原遥さんが、反戦思想(といっても「日本は負けるんだよ!」「戦争は終わるんだよ!」の連呼)を叫ぶ事ができるのは、リアリティがない。松坂慶子さんに二、三十発ビンタされてもイイような振る舞いが許される。
後半に特攻隊基地があるという理由で、空襲を受けるシーンがあるのだが、爆弾をバラマキながら迫ってくる爆撃機を地上から観るという体験は、ゴジラくらいゾッとする画だった。
モブキャラながら嶋﨑斗亜さんの演技は光るものがあり、印象に残る。