ホーガン

哀れなるものたちのホーガンのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
アカデミー賞有力候補だからといって付き合い始めてから日の浅いカップルが見に行くと気不味い映画w

人間は成長に伴って社会的秩序を憶えて型に嵌まった成人が出来上がるのだが、本作は社会的秩序を憶える前に身体機能的に成長しきった女性がどのような行動を取るのかをシミュレートした作品。原作者は社会的秩序を憶える前に性的快楽を得られる体があるとすれば、その女性は性的快楽によって動かされると考えているようだ。社会的秩序の範囲外で行動する大人の女性のギャップ感が笑いを生んでいる。

19世紀末のロンドンとサイバーパンクの組み合わせによる世界観と言葉のセンス(「熱烈ジャンプ」は翻訳を含めて最高!)、独特のカメラ、そして、エマ・ストーン、マーク・ラファエロ、ウィリアム・デフォーのアカデミークラスの演技によって、下手をすればエログロナンセンスなコメディ映画に成り下がるところを一段も二段も高みに押し上げている。特にエマ・ストーンの体を張った演技は凄い。

主人公ベラの数奇な運命は多くの優しき人たちよって支えられており、ある種の幸せな時間を体験出来る傑作。ただ、極度のエログロなので付き合い始めてから日の浅いカップルはご注意召され。
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