瑞々しくて残酷。
いわゆる、美しくも切ないBLものを想像してたらあまりの衝撃に胸が押しつぶされそうだった。
何より、実際にシチリアの小さな町ジャッレで起こった悲劇的な実話の事件(ジャッレ事件)を元に作られた作品と言うのが更にショッキング。
シチリアの夏、透明感のある美しい映像で紡がれる美少年2人の恋。穢れのない純粋な恋が、同性である事だけで、これ程虐げられ排除される時代と社会を目の当たりにすることになった。
当時のシチリア社会では、同性愛者に対する偏見や差別が根強く存在しており、ジャンニとニーノの関係は、多くの人々にとって受け入れがたいものだった。彼らの顛末は、ただの悲劇ではなく、まさに社会の闇を浮き彫りにする出来事だったのだ。
花火のシーンが切ない。パッと輝いて一瞬で消える。まさに2人の恋の結末とリンクしていて、いっそう切なくて美しい。そして儚い。
調べてみると、実際の事件とは年齢設定をはじめ諸々異なっている。けれど、同性愛者の権利と社会的受容に於いてひとつの転換点ともなった事件として、より受け入れやすいカタチに脚色されたのは成功だと思う。
結果、深いメッセージとして投げかれられ考えさせられる意義深さを感じた。
ともあれ、バッサリ裁断したようなラストの余韻。更には、いろんな感情が混ざり合い行き場のない悲しみから暫く立ち直れなかった。
