原田眞人監督の映画のセットって好きなんですよね
本作でも色々あります
BAD LANDSの店舗のビジュアル
ネリが住む「ふれあい荘」の雰囲気
ネリの部屋の無機質な和室
裏賭場の異質でありながら唯一無二の定まった世界観
サプライズキャストが登場する闇麻雀の浴場
その他いろいろ
これらシチュエーションそのものにキャラクター性があるというのが魅力
場所萌えです
本作の原作は「勁草」という小説
原作がある作品の実写化というところの感想として色々と繊細なタイミング
私個人の考えを踏まえつつ
本作に関しては
原作からの改編要素は大きいです
主人公のキャラクターが男性から女性にかわっていること、
また、設定を姉弟としているとこも原作にはありません
これらは原作に対する改悪なのか？
映画として見た時、これらの変更点は正解だと思ってます
安藤さくら演じるネリの魅力は作品の軸となる唯一無二要素です
これは脚色による変更と安藤さくらの演技の素晴らしさによるところ
多くの人が関わる映画でこそ生まれる相乗効果
改悪ではなく映画的な再構築
原作というよりは、原案という表現の方がしっくりくるのかもしれません
原作が詳細に描いていた
特殊詐欺グループの手口や要員構成などは踏襲しつつ
それらを映画として作劇的によりエンタメ方向に昇華させているのは脚色によるもの
安藤さくらの圧倒的な存在感も本作の魅力
山田涼介の危なげながら純粋なサイコパスなキャラクターも魅力
オリジナルでありながら姉を思う行動のカタルシスも本作の魅力
もちろん特殊詐欺グループの仕組みの詳細さ、劇中の犯罪行為、裏世界のフィクションとリアリティの狭間のバランスは原作からの魅力
先にあげた監督の描くセットが登場人物と同列でクレジットされてもいいほどの魅力
多くの人の才能やセンスが集約されて面白いエンタメへと再構築された作品なんです
重厚な雰囲気はあるものの、キャラクターにも愛着をもてるエンタメを主軸においた作品でオススメです
