一人旅

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
エマ・タミ監督作。

アメリカのゲームクリエイター:スコット・カーソンが開発し、2014年にPC版がリリースされた同名サバイバルホラーゲームを気鋭のホラー映画スタジオ:ブラムハウス制作により実写映画化したもので、廃墟のピザ屋の警備員の職に就いた青年が遭遇する恐怖の一部始終を描きます。

幼い頃にキャンプ場で弟が失踪した事件を引きずり続けている青年:マイクは、唯一の肉親である妹の親権を守るため、廃墟と化したピザレストランの夜間警備員の仕事を始めるが、簡単な仕事であるはずが店内に配置された機械仕掛けのマスコット人形が夜な夜な動き出していることに気づいたマイクは事態の収拾を図るうちに失踪した弟を巡る新たな事実に直面してゆく…という“人形サバイバルホラー+失踪ミステリー”となっています。

動物をモチーフとした機械人形の造形や、主人公が常駐する小汚い警備員室の監視モニターや扇風機、壁のポスターに至るまで原作ゲームを再現した映像世界に原作リスペクトが感じられるホラームービーですが、アニマトロニクスのマスコット人形に一方的に襲撃される原作ゲームの設定とは違って、本作では動くマスコット人形と弟失踪事件を関連付けた映画オリジナルのストーリー展開となっています。マスコット人形が人間に牙を剥く絶対悪として描かれず、弟や他の子供たちの失踪に関与した正体不明の犯人を真の悪者に位置付けていくため、マスコット人形自体の恐怖度は相対的に減退していますし、本当に残酷な描写は観客に見せないマイルドな作風となっています。主人公が警備員室でひたすら人形の動きをモニター監視するという原作ゲームの動きの少ないシチュエーションが長編映画に向いていないと判断した上でのオリジナルストーリーですが、主人公の過去のトラウマとの対峙&克服と家族愛というドラマパートが物語に新規性を付与しているので結果的に功を奏していると思います。

原作ゲームのゲーム画面の忠実な映像化ではなく、原作の持つ世界観にストーリー上の肉付けを施し再構築(物語化)したブラムハウス最新作で、主演のジョシュ・ハッチャーソンの陰キャラな佇まいは正に適役です。
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