このレビューはネタバレを含みます
これはドラマでやってほしかったかも・・・・。原作の持っていた希望やパワーがあんまり伝わってこなくて、本当にアレックスとヘンリーのロマンスだけを抜き出したような印象を受けました。もちろん作品自体のメインプロットは2人の恋愛関係なので、2時間でまとめるとすれば正しいことには正しいんでしょうけど。ドラマだったらもっと丁寧に描けたんじゃないかなと少しさみしいです。でも映像化によって作品が持つ力が広がること自体は喜ばしいですし、なんとも形容しがたいもやもやを抱えています。
好きだったシーンが映像化されたのを見るのはとても楽しかったです。トレイラーのサムネのケーキまみれになる2人はもちろん、個人的に1番好きだったDon't Stop Me Nowのギターソロでエアギターをするヘンリーがほんの一瞬映っただけでもとても幸せでした。そのうちミュージカル版も作って、このシーンはフルでやってほしいです。
ザハラが部屋に突入してきたとき(だったかな?)の「機密保持書類を書かなくちゃいけないのは僕(アレックス)の方」のくだりとか、歴史上のクィアな人々の手紙を引用したテキストメッセージのやり取りとかは、原作の中でもお気に入り箇所だったので、映画には登場しなくて悲しかったです。
あと、アレックスが一瞬で自分がバイセクシュアルだと受け入れたのにもびっくりしました。原作アレックスはだいぶ挙動不審になって周りから呆れられていたので。この辺はやっぱり尺の問題ですかね。ラファエル・ルナのカットもつらい。『スター・ウォーズ』論争とかジェームズ・ボンド俳優と結婚したヘンリーのお母さんの話とかは仕方ないかなとも思うのですが。。それから、画面の作りがややチープに感じられたのは私だけかしら。
でもやっぱり1番は、未来の社会への希望みたいなものが作品から溢れ出していなかったところが寂しかったです。この映画も誰かにとって希望になるかもしれないけれど、原作を読んだ後だと輝きが鈍く感じました。
劇中で「If I Loved You」が流れたので、先月『回転木馬』を見ておいてよかった~と思ったミュオタでした。