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貴公子のkeeeeetのレビュー・感想・評価

貴公子(2023年製作の映画)
3.5
2024
33/100

韓国お得意、物騒アクションノワール。
だが少し精彩を欠くところも。

フィリピンにて病気の母親と暮らす地下格闘家マルコは、行方知らずの父親が自分を探していると知って韓国へ立つ。飛行機内で自分を友達と呼ぶ謎の貴公子が現れ、その後も貴公子はじめ謎の集団に執拗に追跡されーーと、狙われる理由が謎めいた前半はどこへ連れていってくれるのかワクワクできた。混血(コピノ)という要素を持って何か社会の闇や差別問題を切り込んでいくのかな…と思ったら、そこはマルコの「貧乏人」を際立てる属性の一つに過ぎず残念。

貴公子のキャラクターは見てて楽しい。飄々としたスーツの似合う男前だが、どことなく胡散臭くコミカルな立ち回りも多い。
靴を汚されるのを嫌ったり、あらかた動いた後は手鏡で身だしなみをチェック。車で狭い道に入り擦りまくったところが間抜け過ぎて最高。ストーリーが進むに連れてボロボロになっていくベンツが可哀想すぎる。

対照的に貴公子以外のキャラが薄い。
『魔女』みたいに主人公もやべーけど敵側にも得体の知れない奴を配置して欲しかったかも。
指摘している人も多いけど、マルコのボクサー設定があまり活きていない。基本逃げっぱなしで、辛うじて貴公子に拳を振るうシーンが一回あったかくらい。ラストに満を持して貴公子とマルコがバディを組み、共闘する展開があっても良かったと思う。そこにデカい敵をマッチアップさせれば前半はスリリングなサスペンス、後半は少年漫画的激アツ展開で持っていけたのに、実際は終始逃避行で、巻き込まれるだけの男で終わっている。

とはいえエンタメのアベレージは超えてくるし、ラストで明らかになる貴公子の正体や行動原理もヘッポコかつ憎めなくて良い意味でずっこけた。
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