RAMRIDER

シン・ちむどんどんのRAMRIDERのレビュー・感想・評価

シン・ちむどんどん(2023年製作の映画)
-
「沖縄の歴史」ときいて思い浮かべる範囲が人によって違うため、史観そのものにズレがあることに大きな問題があると思う。例えば1972年アメリカからの返還をスタート地点に沖縄のことを知ろうとしても、その前に踏みにじられた思いや出来事が多すぎるため沖縄の人々の本当の気持ちを理解することは難しいと感じた。

せめて薩摩の侵攻まで時間を巻き戻し、そもそもは日本とは別の独立した国だったという認識を持っていないと、正論を言っているつもりでだいぶ的外れかつ失礼な物言いになってしまう気がする。まともに歴史を追いかけていれば少なくとも(仮に基地の移設に賛成だとしても)座り込みを揶揄するようなことは人としてできないんじゃないかなあとも思った。自分がもし偏った知識しか持ち合わせてなくてあの座り込みを揶揄する側に回っていたらと思うとちょっとぞっとする。

例えば台湾が70年前に日本に併合されていたとして、その台湾県にだけ大規模な基地を建てられたり、きれいな海を潰して米軍基地をつくる、といわれたら、そりゃ台湾の人は怒るでしょう?みたいな話だと思う。そこに「いやここが地政学的には重要でさ」なんて東京の40代とか50代のおじさんたちが半笑いで揶揄したら、やっぱりそれは「あまりにも認識が浅すぎね?」となる気がする。

タイトルにもなっている「ちむどんどん」を題材にした序盤の軽妙かつ鋭い切り口も面白かったし、選挙戦を終えたあとの本来であれば笑顔でもいいはずの当選支持者たちの言葉がずしりと重かった。

ダースさんにご案内いただき試写で拝見したのでスコア未記入です。観てよかった。
RAMRIDER

RAMRIDER