パン

ナポレオンのパンのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
4.4
フランス革命、トゥーロン攻囲戦、アウステルリッツ、ワーテルロー。
ナポレオンにお馴染みのシチュエーションがスクリーンで観れただけでも大興奮。やっぱハリウッドは凄いや。
ワーテルローはフランス軍の胸甲騎兵が方陣に突撃するシーン予告でもあったけど本当にド迫力。天下のApple様による潤沢な資金のおかげだろう。
ソ連映画のワーテルローもエキストラ数半端なかったけどこちらもかなり頑張ってると思う。

アウステルリッツの戦闘シーンも鳥肌級だった。
わざわざドルビーアトモスで鑑賞して正解だったな。
砲撃音が気持ちいい。特に臼砲の音。
自分みたいな歴オタだったら十分楽しめる出来。

ただ歴史や戦争にあまり興味のないような映画ファンや評論家層はこの映画をどう観るかな…
ぶっちゃけドラマパートとか戦闘パートがどちらも中途半端で完全に描き切れてないように思えたし、やたら駆け足だなと感じた。
流石に原田監督の燃えよ剣ほど酷くはないのだが。
それこそナポレオンの生涯なんて最低でも2部作くらいの映画にしないと綺麗に収まらない気がする。
この作品は上映時間が4時間半バージョンの完全版みたいなのあるらしいんだが、そっちを観たらまた印象が変わるかもしれん。

ホアキンはちゃんと人間臭さのあるナポレオンになりきってたな。
妻であるジョゼフィーヌ以外から見たら冷徹な印象なのも良い。
ジョーカーから皇帝まで演技の振り幅が広すぎる。
ナポレオンの最後の言葉が「フランス、陸軍、陸軍総帥、ジョゼフィーヌ…」だしよほど奥さんを愛してたんだなというのがわかるよね。浮気者の皇帝にしては。

リドリースコット監督、86歳でこれだけの大作映画を撮れちゃうバイタリティがえぐい。
やっぱ戦争の映像に対するこだわりが強いんだろうなというのがわかるね。
それこそグラディエーターの冒頭の歩兵吸引からの騎馬突撃とか実在する戦術に基づいた描き方をしていたものね。

もう中々今のハリウッドの若手監督からこういう映画は誕生しにくいよなあ。
リドリースコット監督の意思を継ぐような人が現れると良いのだが…
パン

パン