CHEBUNBUN

ターミナルのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ターミナル(2023年製作の映画)
1.0
【人が過疎っているバス停留所にて】
山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティション作品。ブエノスアイレス出身のグスタボ・フォンタン監督は、映画だけでなく詩集と短編小説集、戯曲作品などもを発表している多才な人物である。そんな彼がアルゼンチンのコルドバ州のバス停留所を撮った。そう聞くと現地人同士の交流だったり、旅人たちの一期一会のエピソード、スタッフの活動が観られるのかなと期待してしまう。フレデリック・ワイズマンのような対話に対する観察を通じた人間活動を捉えたドキュメンタリーを想像していたのだが、実際にはかなり毛色の異なる作品であった。

というのも会話は極度に抑えられており、断片的に恋愛に関する話が挿入されるぐらいとなっている。そしてバス停留所も人っ気がいない場所を中心に撮影しており、全体的に画が暗いのだ。人との交流の場所、地点と地点を繋ぐ場所としての停留所像を全く描かないのである。Q&Aがなかったため、監督の意図を知ることができなかったのだが、これはかなり困惑すると同時に自分が期待する映画ではなかった。やはり、バス停留所を舞台にするだけの画は撮ってほしかった。
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