日下勉

瞼の転校生の日下勉のレビュー・感想・評価

瞼の転校生(2023年製作の映画)
4.0
これはなかなか面白い映画を観た、というのが感想で、これがすべて。
齋藤潤くんの不登校と地下アイドルに嵌まっているところや、葉山さらちゃんがいつの間にか大衆演劇に詳しくなっていたり、ちょっと引っ掛かりを感じるところはあるけど、どさ回りの大衆演劇の劇団の中学生の主人公、松藤史恩くん、めっちゃかわいい。その史恩くんと潤くんが2人でじゃれあっているところなど見ているだけで満足。
映画の「瞼の転校生」の瞼は大衆演劇の定番演目とも言える長谷川伸の「瞼の母」からなのだが史恩くんと潤くんが2人とも母を知らない境遇と心を通わすことのモチーフになっていて、これは瞼の母の母への憧憬へと繋がっている。
この構成はとても分かりやすく、すっと胸に落ちる物語となっている。
それにしても大衆演劇と地下アイドルが実は同じ地平にあるという見方はなるほどと納得させるものだし、少年同士の友情以上恋愛未満の蠱惑的な魅力があった。

松藤史恩くんは「雑魚どもよ、大志を抱け」齋藤潤くんは「カラオケ行こ!」とそれぞれ観てるけど、どちらも今作の方が好きだなぁ。

以前川口に住んでいたとき、映画の主な舞台となっている十条商店街にある篠原演芸場辺りは、よくうろうろしていたので、ここも懐かしく観れた。
日下勉

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