市子のたかのネタバレレビュー・内容・結末

　杉咲花のオーラと重みが凄い。ストーリーは映画「ある男」とダブります。とても過酷な境遇に耐えて、壊れて、そしてやり直そうとする市子に感情移入です。過去の過ちは何とか背負えても、戸籍という紙切れ一枚がいかに重いことか！申告すれば何とかなるのでは？と一瞬思ったのですが、そうなると過去の過ちが明るみに出てしまうので、常に詰んだ状態で生きてきたんですね。
　そんな市子を放ってはおけない北君みたいな人が現れるのはいたって自然です。ラストはそんな北君の想いが高じて、自殺志願の女性と二人で自殺、女性は身元不明のまま処理されて、市子はその女性として新しい人生をスタートさせる。曖昧なラストは私の解釈ですが、そう考えると冒頭のシーンと重なるし、何とも言えない余韻が残ります。ともあれ強烈な作品でした。