たけうち

アキレスと亀のたけうちのネタバレレビュー・内容・結末

アキレスと亀(2008年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

アートに明るくないが、北野武が皮肉ってくれるから説得力があり、笑える。
何の価値もない絵を買わされている富豪、小学生の絵を売る画商、大森南朋の背景にある真知寿のと何ら変わらない絵画の数々…芸術とは。

自分が作ったもの、好きなことが全く通じない辛さと「売れる」ことの難しさ、少なからずたけしの葛藤も映し出されていると思うと、フィルモグラフィーを築きあげる過程の苦悩を察することができた。

中年期は絵画を題材にした大喜利だが、全部当たってる。
風呂に沈める所は笑い死ぬかと。
単発の笑いだけでなく、真知寿の少年期、青年期、中年期の移り変わりの中でその時期ならではの悩みが描かれ、話としても面白い。
柳憂怜から北野武へは変貌し過ぎだが。

あまり評価されていないようだが、北野武作品の中でも上位に入るくらい好みな作品。

芸術の事を「アキレスと亀」と評しているのかと思ったが、幸子が真知寿の元に帰ってくるラストをみて、人を愛する気持ちこそ「アキレスと亀」といっているのだと思った。
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