大切なのはバランス。
この言葉通り、微妙なところで保たれていた均衡が崩れていく物語だった。
劇中で起こる出来事に対する、登場人物たちの主張。
それぞれの立場を考えると、良し悪しは置いておいてそう言わざるを得ないという点で、タイトルの悪は存在しないってことなのかなと考えてた。
じゃあ、この物語はどこに着地するのかな？と考えてたら、あまりにも唐突で強引にも思える終わり方に呆気に取られた。
でも、エンディングの後何が起こるかを想像したときに、ちょっと恐ろしいんだけど、個人的には丸く収まる展開が見えてしまった。
ただ、同時に主人公の巧がクライマックスのあの短い時間のなかで、そこまで考えてあの行動を取ったのかが分からなかった。
物語の中で終始感じる緊張感の中で、無音とBGMを唐突に切り替えたり、他の濱口監督作品にもあるような日常の中のちょっとおかしな会話で空気を弛緩させたり、細かい展開を散りばめてるのが凄いなと感じた。
