HAYATO

DOGMAN ドッグマンのHAYATOのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
3.9
2024年103本目
ダークヒーロー・ドッグマン爆誕
『レオン』のリュック・ベッソンが、実際の事件に着想を得て脚本・監督を務め製作し、第80回ヴェネチア国際映画祭で称賛を浴びたバイオレンスアクション
ある夜、警察に止められた1台のトラック。運転席には負傷し、女装をした男。荷台には数十匹の犬。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代。犬たちの愛に何度も救われてきた彼は、犬たちとともに犯罪に手を染めるが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう。
主人公のドッグマンを演じるのは、『スリー・ビルボード』のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。共演に、『アルゴ』のクリストファー・デナム、『バリー・リンドン』のマリサ・ベレンソンなど。
割と久しぶりに監督を務めたリュック・ベッソンは、本作について、「5歳の男の子が4年間犬小屋に閉じこめられていた事件」に関する新聞記事を目にし、そこからアイデアを膨らませていったと語っている。
主人公と精神科医の対話を通じ、回想形式で綴られていくのは、幼少期から父と兄に虐待され、下半身付随となってしまった主人公の壮絶な過去。そんな主人公を支えるのはドーベルマンやボルゾイ、コーギーなど、多種多様な犬種のワンちゃん集団。可愛らしさ、賢さ共に抜群のワンちゃんたちが各々の個性を生かしながらギャングを退治していくシーンがすこぶる楽しい。『落下の解剖学』のメッシくんに続いて、ワンちゃんの活躍をスクリーンで拝めて嬉しい。
犬と共に犯罪行為に手を染める一方で、表向きはナイトクラブのドラァグ・クィーンとして生きる主人公。エディット・ピアフやマレーネ・ディートリッヒ、マリリン・モンローそっくりの扮装を施して彼女たちの名曲を口パクで歌う姿はとても輝いて見えた。
劇中で「宗教」や「信仰」をモチーフにした描写が数多く見られたので、キリストを想起させる十字の姿勢で横たわる主人公を映したラストシーンの意味について考えさせられた。
主演を務めたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの怪演は圧巻で、『ジョーカー』のホアキン・フェニックスを彷彿とさせる不気味な笑みを浮かべた表情が印象に残った。リュック・ベッソン監督の次回作『Dracula - A Love Tale(原題)』(吸血鬼を題材にした作品)にも出演するそうなので、すでに出演が決まっているクリストフ・ヴァルツとの掛け合いが楽しみ。
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