たか

コンクリート・ユートピアのたかのレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
4.5
 衝撃作!日本人にはない発想と描写です。皆が等しく貧しくなるならまだしも、一部が既得権益を持っていると、人間は更にダークサイドに落ちやすくなりますね。人間は環境によって天使にも悪魔にもなるんです。秩序ある世界で善人のように生きていても、多かれ少なかれ同じ天秤が動いています。ただ敵を作るのはかなりのリスク、情けは人のためならずは自己防衛のための言葉かもしれません。
 そして乞われてリーダーになると、誰でも皆のために頑張ろうとします。そして権力を実感すると、そこから乱れてくる。(一部の)政治家や軍人/警察官もその代表みたいに思います。だから時代が変わっても、世の中がそれほど大きく変わらないのかもしれません。人間は不完全で多種多様なので、見せかけのユートピアが存在しても、それは自分を殺して周囲に合わせている部分が多いでしょう。そう言い切っては身も蓋もないので、人間は大昔からユートピアを探し求めるのでしょうね。
 そんな様々な人間心理を扱っている作品です。どこか映画「月」の葛藤と近いものがあります。かなり考えさせられる作品ですが、考え過ぎても答えなんてないので、ほどほどにして潜在意識に沈めておこうと思います。
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