てつこてつ

コンクリート・ユートピアのてつこてつのレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.8
2024年の初鑑賞映画はやはり劇場で。

本作は大地震自体の恐怖を描くディザスタームービーとは一味異なる、震災後に生き延びた人々の姿、法や社会的秩序が崩壊した世界での集団心理の怖さをまざまざと炙り出すサスペンス物。世界観は全く異なるものの「ウォーキング・デッド」の雰囲気に近いかな。

正直、このスタイルで2時間超えの上映時間で中だるみしないか不安もあったが、脚本が良く練られており、大作感もしっかりあって、個人的には全く飽きることなく楽しめた。

ソウル全域を壊滅状態に追いやる大地震の描写はごく僅かだが、そのVFX技術の高さは流石の韓国映画。崩壊を免れたアパートの住民らで成す自警団が崩壊したソウルを歩く瓦礫の描写とかもセットとVFXの見事な調和でとってもリアル。

何と言ってもイ・ビョンホンの演技が凄い。特別なヘアメイクなどを施さなくとも、ボサボサの髪形と野暮ったい服装のみで序盤の普通の中年のオッサン感が見事に出ていて(やや遠藤憲一っぽり?)、そこから中盤からのキャラ変の見事さよ!また、そのキャラ設定がしっかりしているので、無理矢理感が無くて改めて脚本の上手さを感じた。

人間としての倫理観の象徴として登場するパク・ソジュン、パク・ボヨンが演じる若い夫婦のキャラクターも良い。

ぶっちゃけ、いくら首都が壊滅状態となっても、核兵器を持つ北朝鮮がお隣の韓国・・青瓦台には絶対秘密で頑健な地下シェルターなんかがあると思うし、政府がラジオなりで何らかの対処をするんじゃないの??と、そもそも論的なツッコミどころはあるものの、新年一発目に鑑賞する映画としては当たり作。

音響効果も凄いので、ご覧になるのであれば、是非とも映画館で。
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