Rita

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版のRitaのレビュー・感想・評価

3.6
俺たちの中に警察の犬がいる。

劇場でGeorge Baker Selection「Little Green Bag」のOPを聴けたのは最高に気分が上がったし鳥肌モノだった。タランティーノ監督の処女作にしても、この頃から面白い作品を撮る人だったんだと興奮した。

タランティーノ作品と云えば台詞はどのシーンを切り取っても面白いものが多い。例えば冒頭のダイナーでMr.ピンクだけが頑なに「チップは払わねえ。こいつは俺の主義だ」と言い張ることで始まる本当にくだらない議論が面白い。この台詞はタランティーノの考えらしく、監督はウェイトレスにチップを払うことに納得できないようだ。

他にもジョーが色の偽名を男たちにつけるのに、Mr.ピンクが自分の色が気に入らず「おい、なんで俺がピンクなんだ?」と反抗するも、ジョーに「お前はピンクだ!」と意見を跳ね除けられるシーンもユーモアがあって好きなシーン。

Mr.ピンクとMr.ホワイトが揉めて銃を持つ二人。Mr.ピンクが「青二才のコソ泥かよ俺を巻き込むなクソッタレ!」と言ってカメラがズームアウトしていくシーンは名場面だった。銃を向けあってる男二人の場面がこんなにクールに映せるのはタランティーノ監督だけだ。

監禁された警官を拷問するサイコ野郎のMr.ブロンドの暴力性の見える耳を切るシーンが印象的。Mr.ブロンドの好きなラジオ番組K-bellyの『スーパーサウンド70s』 から流れるStealers Wheel「Stuck In The Middle With You」は痺れるほど爽快でした。

皆とは言わないが観客は映画に暴力を求めているということを理解している、タランティーノ監督自身そう思っているからこそ感動した。暴力は見るものに記憶させる。ダンスや過激なシーンがあってのタランティーノ作品だし傑作だと思う。
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