エメラルド・フェネル監督作。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020)の英国の女性監督:エメラルド・フェネルが脚本と演出を手掛けた青春サスペンスですが、日本では劇場未公開に終わりAmazonでの配信スルーとなりました。
2006年、労働者階級の家庭から奨学金でオックスフォード大学に入学したもののなかなか大学に馴染めずにいた青年オリヴァーは、ある日自転車がパンクし立ち往生している貴族階級の御曹司:フェリックスを親切心で助けたことから彼と意気投合を果たし、やがて彼の一族が所有する郊外の豪奢な邸宅“ソルトバーン”に招待されたオリヴァーは一族たちと忘れがたい夏を送る…という青春サスペンスとなっています。
上流階級の富と権力の象徴であるソルトバーンを舞台に、上流階級の一族の贅沢な暮らしへの一時的な参加を許された主人公が仕掛ける下流から上流への侵食を生々しく描いた愛憎と欲望渦巻く青春サスペンスとなっていて、主演のバリー・コーガンが一族に取り入る寄生虫のような青年を不気味に妙演していますし、舞台となる大邸宅の壮観な光景が下流から見た上流階級の閉塞性と異様性を物語っています。