A8

アメリカン・フィクションのA8のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.9
ポリコレだとかなんだとか、、
現代社会の“人種”に対しての流れを
うまーく浮き彫りにしていた

ん、、。やり過ぎではないか
それはもはや逆に差別してるのでは、、など

純粋に“芸術”や“作品”に対しての評価や感想ではなく
バックグラウンドや見た目を重要視してしまい、中身がスカスカ状態になる〈本末転倒〉な世の中。そういう蔓延る違和感をうまく皮肉混じりで表現されていた。


主人公の小説家は、作品が思うように描けないスランプ状態の黒人男性。

彼は、現代の〇〇らしさに嫌悪感を抱いていた。典型的な黒人!といったものを掲げた作品に対し、自己愛をのっけたり、自動的に純粋な批評ができなくなる色眼鏡な世の中に反発しようとさえしていた。

プライベートでお金が必要になった彼は
今まで嫌っていた“黒人らしさ”を描いた本を皮肉を込めて提出する。
残念なことにこれが見事にオオウケ、、
咄嗟に彼は、自らを「逃亡中の犯人」と別人に装い、本を出版することに。

スルスルとこの“駄作”が評価されていくことに自己嫌悪を抱きながら
この世界の構図を深く知ることになる。


〈結末〉

ペンネームの真実を明かした主人公。
そして映画化が決定、、
最後の結末の案を映画関係者に委ねられていた彼は、皮肉込めて思いっきり“らしさ”溢れるモノを提案する。
それがまたまたオオウケ。

そこで彼は振り切れたのか、清々しく兄の車に乗り込みハリウッドスタジオを後にする。

果たして彼も、世の中の流れの一員となったのだろうか、、?
きっとなったのだろう。




世の中の流れに漂っている“モノ”とは
本当に価値のあるモノなのだろうか?

色眼鏡に敷かれ、内容のない評価に漂ってきた中身スカスカなモノではないのだろうか?

もっと言うと過剰な居場所の提示は
より差別化を助長するモノではなかろうか。
 
世の中に蔓延る“〇〇らしさ”
その現実をユーモアと皮肉たっぷりに暗示していた。自由は人質。
主人公も、もはや皮肉な1人であった。

本屋での一件
自分の作品を探していた主人公。
分野ごとにジャンル分けされている本屋に
本来自分の作品が置かれるべきではない“ネイティブアメリカン”のコーナーに本が並べられていた。
なぜ??と聞く
作家が黒人だからなのかな、、と答える

直接的に〇〇らしさの固定観念がいかに
スカスカで無価値であるかを表したこの一幕。
この作品の意図を抽象的に表しているようだった。

水に流れるように生きていくことは時に大事だ。
しかし、自分の軸を持ち物事を判断しなければならない。
この二つの折り合いを見出したい。
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