みゆ

異人たちのみゆのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

孤独な都市生活者として生きる男が幼少期を過ごした郊外の家をふと訪れたら、子供時代に死んだ両親が当時の姿のまま住んでいたという物語。彼はロンドンでは1人の男性と恋に落ち、郊外では両親と失われた時を過ごすようになる。琥珀に閉じ込められた昆虫のように、どこか世界と切り離されて。山田太一の『異人たちとの夏』原作。静止する雲。閑静な建物。怪しい住人。若い両親。喪失と再生。ミステリアスな雰囲気と相まって、違和感が少しずつ確信に変わっていく感覚が心地良い。どの選択肢を選んでも、光がある分影があり、山がある分谷がある。それらの日々は永遠に続くのかもしれないし、違うのかもしれない。石のように現実なのかもしれないし、霧のように夢なのかもしれない。どんな物語になっても、それが重なり、紡ぎ合い、それこそが、人生になってゆくのだなあと思わせられる作品でした。
エンドクレジットで“Based on the novel ‘Strangers’by Taichi Yamada”(表記の記憶は曖昧)とあったから、はっきり原作からの映画化なんだなあと思いました。そして小説の英題は’Strangers’なんだなあと……あああ……そしてこの映画の原題が’All of us strangers’……。
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