ダイゴロウ

異人たちのダイゴロウのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画館にて鑑賞。
山田太一の小説『異人たちとの夏』の再映画化。
本作観賞後、邦画『異人たちとの夏』も鑑賞したが、LGBTQ要素を取り入れた他にも、かなりの部分が改変されていた。(小説がどちら寄りかは分からないのですが…。)

※以下邦画『異人たちとの夏』に対する若干のネタバレを含みます…。


特に亡くなったはずの両親の立ち位置が大きく異なっていて、とにかくノスタルジックで魅力的な世界(それだけに危険もひとしお)であった邦画版の異人たちの世界とは大きく異なり、本作においては父親との過去の軋轢や「ゲイであること」のカミングアウトに対する両親の無理解さのようなものも描かれている。

逆に恋人役の立ち位置は、より温かく主人公に寄り添ったものとなっており、ホラーチックな展開を向かえる邦画版とは異なり、より心にしみて、感動的かつ刹那的で美しいラストを向かえる。(主人公の最後の選択が異なるので、結末も大きく異なってくるはずである…。)
自分の死にすら確信を持てていない様子のハリーとそれを温かく受け入れる主人公の一連の流れが美しかった。

個人的に、両親は邦画版が断然好みで、恋人役と結末に関しては本作の方が好みだったように思う。
(仮に両親を邦画版のように温かくした場合、生きていくために決別した以上、異人となった恋人と一緒に暮らしていく未来は不自然になるので、二つにひとつの作品なんだと思う。)