Patrick

異人たちのPatrickのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

渋谷シネクイント G6

潜在的に欲している感傷を与えてくれる映画を良い映画と判断していただけなんだと気付かされた。

この映画は、わからない。
わからないが、この映画の主張を理解しなければならないということを伝えてくれた。
そして、本質的にはそういった作品に価値があるんだということに気付かされた。

ヘテロセクシャルで中産階級でとくに不自由無い生活を送ってきた自分には理解ができない。

これは理解できないものとして真摯に受け入れて「自分は理解している」という傲慢さは捨てなければならない。
性的マイノリティの人間が身近に居たとて、当事者でなければその葛藤や苦しみを理解できるわけがないんだから

正直に、シンプルに、自己と他者との違いとして、理解できないものとして、謙虚にならなくてはいけない。

性的マイノリティへの偏見における問題は、社会がどこまで寛容になってそれが普通になろうとも、当事者としては永久に付きまとう問題なんだろうと思った。
その不和は生物学的に拭えないものであるからこそ。

(これは"理解できない人間"としての想像だが)
逆に、性的マイノリティの方は社会が表面的に寛容になるにつれて、理解しているつもりの人間たちから与えられる(実際には腫れ物として扱われている)居心地の悪さを、
自身のマイノリティのせいにすることができずに、アダムやハリーのような寂寥感や諦観を抱くのかもしれない。

"他者の理解"という永遠の課題に対して謙虚になる必要がある。
非難することなくただ理解する。
理解した上で尊重する。
Patrick

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