寝耳に猫800

リンダはチキンがたべたい!の寝耳に猫800のレビュー・感想・評価

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チキンが食べたいという食欲のために色々な誤解やアクシデントが積み重なるハチャメチャ展開なのだがなぜか納得感がある、子供だけではなく大人もみんな自分の欲望に忠実なのに意外と思いやりで関係が成り立っているところも面白い、冒頭に「翌朝はストライキ」というくだりが挿入してあることでその後の展開のふんわりとした布石になっているのだと思う

「どうしてこうなった」的なコメディが好きなので、パプリカ・チキンを作ろうとしたら警察に追われ、母は手錠をかけられ、巻き込まれたトラック運転手の実家が次々と破壊され、木の上に登った鶏を捉えようとして樹上が子供の服だらけになり、瓜でサッカーが始まって暴動のようになり、なんだかんだあって母は仮面を被った男、叔母はパンツ一丁の男とロマンスが始まりそう、パプリカ・チキンもできてよかったね、みたいなラストに収まっているのも笑う(よかったね、で終わるわけがないのだが、アニメーションで表現されているからそこまで無理がない)

そういえばアニメーションの本質って写実的なことでも精緻なことでも技術的な達成困難さでもなく、その時の人物の心情や状況を適切な映像と音を使って表現することの自由さだったよな、と思い出した、その意味で本作のアニメーション表現はとても親しみ深くしっくりくる、紫の猫かわいかった