A8

彼方にのA8のレビュー・感想・評価

彼方に(2023年製作の映画)
2.9
最愛の家族が殺されてしまった主人公。
途方もなく、想像を絶する哀しみに打ちひしがれる彼の姿はあまりにも残酷だった。

ドライバーとして、再び生活を始めていった彼はある日、自分の妻と娘に良く似た家族を乗せることになる。彼は、動揺するがなんとか車を走らせる。車中喧嘩の絶えない夫婦の間にポツンと座る娘を気の毒に思いながらも、彼は自分の家族を思い浮かべていたのだろうか。目的地について先に喧嘩しながら夫婦が先におり、ひとりぼっちになった娘は促されやっと車を降りる。彼らが去ったと思った途端思いもよらぬ出来事に遭遇する。
彼の倒れるほどの感情が溢れていく様は、娘へのそして妻へのたまらない愛情の塊だったのだろう。
車に戻りシートベルトを付け、窓から顔を出し空を見上げた彼、表情が少し柔らかくなっていた。
少しずつ心の雲が明けていくきっかけになったのかもしれない。

現実と受け入れたくない。だけど現実、、そんな想像を絶する悲しみに打ちひしがれる彼の姿はあまりにも印象的。
どんな悲しいことがあっても相変わらず変わらない人々の暮らし、澄んだ空、太陽の暖かさ。
“生きる”ということ今“生きているんだ”ということをいつも思い出していくれる存在なのかもしれない。
A8

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