地球に住む人類である限り、私も含め人は皆祖国を持つ。
祖国とは個人がどれだけその国を愛していようといまいとその人のアイデンティティに少なからず関わり、人間形成に関わっている。
その祖国が亡くなってしまう過程を強烈に描いたのがこの作品。
イデオロギーに奔放され、内線で粉々にされてしまう過程を前半はブラックユーモアとお下劣な描写も含めて。
後半は容赦ない暴力を憎しみと悲しみを込めて描いている。
以下見た人向けに。
エンディングに死んだ登場人物が海岸沿いに全員現れ、繰り広げられる宴の中、吃音だった少年が滑らかに言う
「苦しみと悲しみと喜びなしには子どもたちには伝えられない。「かつて国がここにあった」と」
宴が繰り広げられる陸地は切り離され、海の上を進んでいく。
宴は続いたまま、この物語に終わりはないというテロップが出て劇終。
これ以上強烈で魂を揺さぶる映画のエンディングを私は知らない。
そして物語はユーゴスラビアからウクライナ、ガザ地区へ。
本当に残念だけど、四半世紀経っても国を追われる者たちの物語に終わりはない。