矢吹健を称える会

トラペジウムの矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
3.1
 序盤から台詞で要約しまくりだし、一部キャラなんかほとんど背景が描かれないので、駄目だなあと思いながら見ていたのだが、だんだん、これはどうも……良くも悪くも、危なっかしいなと。めちゃくちゃ好意的に解釈すれば、先述した欠点ですら、主人公の独善性(アイドルとしての成功しか見て/見えていない)ゆえの視野狭窄を表現していると言えなくないのでは、とか思い始めてしまい、ともかく危なっかしさにドキドキしながら見ることになった。そして個人的には、ドキドキさせられる映画体験は好みである。
 当然後半でしっぺ返しを食らうわけだが、ここで主人公が凹む時間が長い。めっちゃ凹んでる。電車に乗らずお辞儀をする描写など、グッとくるシーンもあった。
 しかし、ラストでは「夢は叶えたものしか~」とかヌカすモノローグがあり、いかがなものかと思う反面、こいつなかなかふてえタマだなと感心。最後の曲も蓋を開けてみたら原作者ひとりで作詞してる。ふてえタマである。

 2Dと3Dが入れ替わるダンスシーン。上映前に流れた『i☆Ris the Movie Full Energy!!』予告のダンスシーンに比べると、段違いに意欲的な試みをしているなと思った。