marimo

トラペジウムのmarimoのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
3.3
原作に高山一実という乃木坂案件です

ただかなり厳しめですが
高山一実が原作でなければ何にも引っかからない作品

どれだけプロの脚本や演出で成形しても消せない原作の歪さ

人物を深掘りできていないというよりは
セリフや物語の表層に当てられたキャラクターであり
劇中で語られる場面でのみ存在する記号的な無人格なハリボテ

ただここまでボロクソに言ってもなお
この作品から感じる吸引力は
またそれも高山一実が原作であるということに起因しているのだろうと

当時トップアイドル乃木坂の主要メンバである高山が描くアイドルの物語

それはただ華々しいだけでない
アイドルを目指すために何でも利用する主人公
目指していなかったアイドルの世界に翻弄される人物
偽りの友情と壊れ始める人間関係

アイドルから見た過酷な世界がそこにはある

登場人物のピントが合わないのは
思春期の多感な時期に
華々しさと引き換えに制約に囚われるアイドルという存在そのもの

高山自身の思いだけでなく
高山がアイドルの世界で見た数々の人物像を合成したキャラクターたち

現実味はなくとも偶像を具現化した
それはアイドルとしての紛れもないリアル

作家として見たら全然上手くは無い
それでも
高山一実でしか描けないもの
高山一実でしか説得力を持たせられない物語

自分が1番でありたいという野心と
輝く集団の中での小さな一つにしかなれない現実

トラペジウムというタイトルが
これ以上にないほどアイドルグループそのもの

おじいちゃんの声がだいぶ若いなと思ったら
エンドロールでこの2人だったのかと笑
良いキャスティングでした笑
-------------------------------------------------------------------------------
劇場名 :109シネマズ川崎
上映日 :2024/05/11(土)
上映時間:12:55 ~ 14:40
上映劇場:シアター4
上映作品:トラペジウム
座席  :F -11
marimo

marimo